この恋は、絶対に秘密!
「……スミヤの坂下さん?販売促進部の坂下さんか?」

「あ、えぇ、そうです。商品のことで相談したいことがあると……」



岬さんは驚いたような戸惑うような、何とも言えない表情で顎に手を当てる。



「坂下さんが俺に……?あぁ、ありがとう」



一瞬考え込んだ岬さんは、思い出したように保留にしていた電話を取った。


どうやら私のことに気付いたわけじゃなかったらしい……けれど、坂下さんの名前を聞いた彼の反応が少しだけ気になった。


電話越しの声を聞いた感じでは若い人ではなさそうだったけれど、岬さんのフルネームも知っているくらいだから二人は知り合いなのだろう。

どうしてそんなに驚いたのかな……?



でもそんな些細な疑問は、仕事を再開するとすぐに忘れてしまい。

やがて、夕飯は何にしようという不届きな考えに変わっていくのだった。



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