この恋は、絶対に秘密!

悩んだ結果、夕飯は定番で失敗の少ないカレーにした……のだけれど。



「これは……チョコレートでも入れたの?」

「すすすみませんっ!!うっかり焦がしてしまいました……!」



帰宅して鍋を覗く岬さんの後ろでびくびくする私。

ルウを入れるところまで順調だったカレーは、少し目を離した隙に鍋底にこびりついてしまい、慌てて掻き混ぜたらチョコレートのような焦げが混ざってしまったのだ。


岬さんは小皿にカレーを少しすくって味見をし、眉根を寄せた。



「……焦げ臭い」

「な、なんとか修正出来ないものですかね……?」

「カレーの焦げ臭さは無理だな。底の方まで掻き混ぜないで上の部分だけ取ればまだよかったものを……。
それに野菜も固い。これは焦がす以前の問題だぞ?ルウを入れる前にしっかり野菜を煮ておかないと……」



そこまで言って岬さんは言葉を飲み込む。私が半泣き状態だったから。


< 170 / 387 >

この作品をシェア

pagetop