この恋は、絶対に秘密!
未来くんには悪いけど、料理教室のことすっかり忘れてたわ。

肩をすくめつつ謝ると彼はダッシュボードに眼鏡を置き、“仕方ないなぁ”と言うように軽く息を吐き出した。



「社長もようやく腰を上げて婚約解消に向けて動こうとしてるみたいだよ」

「そう……」

「だから、もう帰ってあげたら?僕が今から送ってあげるよ」

「えっ!?」



お父さんが考えを変えようとしてくれてるのはいいけれど、今から帰るなんて……!



「本当はもっと早く迎えに来たかったんだけど、僕もこれでも仕事があるからさ。でも今日は料理教室の日だからちょうどいいと思って。
まずはお世話になってる人のとこに荷物取りに行こっか」

「っ……ちょっと待って!」



芸能人みたいな大きめのサングラスを掛けて、早速車を発進させようとする未来くんの手を握った。


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