この恋は、絶対に秘密!
「どうした?大丈夫か?」

「あ……何でもありません、課長!」



きっと岬さんは私が見知らぬ車から飛び出した場面を見て、何事かと心配してくれたんだろう。


私は無理やり口角を上げ、ぎこちない笑みを返した。

そして未来くんに向かって手早く告げる。



「お願い……あと一日待って。必ず帰るから」



私ももう彼のもとにいられないことはわかっている。

だから最後に一日だけ、彼と過ごす時間をください。


未来くんはじっと私を見据えた後、諦めたように一つ息を吐いてサングラスを掛け、置きっぱなしだった眼鏡を渡してくれた。



「……約束だよ?これ破ったら、瀬奈ちゃんをデザートに頂いちゃうからね」

「……はい」



最後だけいつものエロワンコに戻った彼は、私がドアを閉めると軽く手を振ってゆっくり車を発進させた。


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