この恋は、絶対に秘密!
走り去る赤い車を見送りながらひとまず嵐が去ったことにホッとしていると、すぐそばに岬さんが来ていたことに気付く。



「今の……もしかしてシェフの日詰未来?」

「あ、はい……!」



未来くんは有名人だから、岬さんが彼のことを知っているのは当然だ。


だけど、未来くんはどうして岬さんのことを……

しかもあんな言い方をするなんて、何かあったとしか思えない。

二人の接点が何なのかは全く想像がつかないけれど。



「知り合いだったのか?」

「えぇ、ちょっと……」



あまり未来くんとのことには触れてほしくない。何て説明したらいいのかわからないし。



「すみません、本当に何でもないので……!」



こういう時は逃げるが勝ちだ。

私は言葉を濁して、そそくさと帰ろうと踵を返した。


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