この恋は、絶対に秘密!
寝癖がついたままなのだろう、ぴょんと跳ねた髪の毛すらも愛おしい。

仕事は完璧主義なはずなのに、こういう所が無防備で母性本能をくすぐられてしまう。


好きになったら何でも良く見えちゃうのね…。



「………。」

「っ!!」



デスクへと戻っていく課長の後ろ姿を惚けた顔で見送っていると、冷めた目で私の顔を一瞥する知恵美ちゃんが視界に入った。


『なーに鼻の下伸ばしてんのよ』

なんて声が聞こえてきそう。



知恵美ちゃんは社内では一番仲の良い友達で、私が課長を好きなことも唯一知ってる人物。

彼女はそんな私の恋心を理解しがたいらしく、目をハートにさせて課長を見ているといつも呆れられてしまうのだ。


私は眼鏡を押し上げて咳ばらいをし、何事もなかったようにその場を後にした。



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