この恋は、絶対に秘密!
優海と付き合い出してからしばらくして、彼女の父親は県内では大手のスーパー“スミヤ”の販売促進部の部長だということを知った。

当時平社員だった俺には契約を交わす権限なんてものは当然なかったが、お義父さんは『いつかは君の会社に依頼したいものだ』と言ってくれていた。


優海のことは愛していたし、仕事の面でもお互いにメリットがあるとなれば自然と結婚を意識するようになる。

俺が係長に昇進したこともあり、優海が女子大を卒業してすぐ、俺達は家族になったのだった。



──しかし、順風満帆に思えていた結婚生活は次第にその形が崩れ始めた。


係長になったことで一気に仕事内容も増え、残業は当たり前で家に帰るのはいつも夜遅くで。

休日も人手が足りなければ応援に入らなければいけない。


そんな日々が続き、必然的に優海と過ごす時間は減っていった。


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