この恋は、絶対に秘密!
それに見合った給料も貰えていなかったことで、ストレスは溜まる一方だった。


働かなくても元から貯金はある優海と、仕事に明け暮れても満足な賃金を貰えない自分。

そんなことまで比較するようになってしまい、俺の心は荒んでいった。



だが、同じように優海の心も擦り減っていたことに、この時の俺は気付くことが出来なかった。


家に帰っても笑って話すことがなくなり、優海が毎日家事をしてくれていたことへの感謝も忘れていた。

手をかけて作ってくれた料理も、口先で『美味いよ』と言って咀嚼するだけだったのを、彼女はわかっていたのだろう。



二人で暮らす小さなアパート、その空間での幸せな時間が何より大切だった優海にとって、俺の思いやりの無さはどれだけ彼女を傷付けていたか──

気付いた時にはすべて遅かったのだ。


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