この恋は、絶対に秘密!
そのうち戻ってくるかもしれないし……と、安易に考えていた俺に届いたのは

目の前が真っ暗になるような、最悪の知らせ。



──赤信号に気付かず道へ飛び出したらしい優海は車に撥ねられ、病院で静かに息を引き取った。


不慮の事故だったが、そんな都合のいい言葉では到底片付けられなかった。



俺があの時すぐに優海を追い掛けていれば

部屋を出てしまう前に、もっと話し合っていれば

常日頃から彼女と真摯に向き合っていれば──…


そんな後悔ばかりが次々と押し寄せ、自分を責めずにはいられなかった。



彼女の両親は俺達の不仲を知らなかったようだが、優海がすべてを打ち明けていた妹の美波ちゃんでさえ俺を責めなかった。


心の中では文句を言いたいことが山ほどあっただろう。

だが、それを口に出さなかった彼女の優しさが、さらに俺の胸を苦しめた。


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