この恋は、絶対に秘密!
もう誰も愛さないと、俺には愛する資格なんてないのだと、優海を亡くした時からずっとそう戒めてきたのだ。



──しかし、そんな俺の前に、突然一匹の猫のような女性が現れた。

彼女は“絵瑠”と名乗り、俺の懐にするりといとも簡単に入り込んでくる。



家出してきたという彼女を、最初はただの厄介者だと思っていた。

名前しか教えず、しかも男の家に一晩泊めてくれだなんて言うこの子はどれだけ危機感がないんだ、と。


お互い素性を知らない男女なのだから、一夜限りの関係を持ったって構わないだろう

……そう思ったのは事実。
むしろ、思わない男はいるのだろうか。


だが、そんな汚い欲望を思い止まったのは、彼女がどことなく優海に似ていたからだ。


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