この恋は、絶対に秘密!
俺のためにと慣れない家事を頑張ってくれていた健気な彼女の姿も優海と重なり、素直に喜ぶことは出来なかった。

あの頃もちゃんと感謝していれば……という後悔が押し寄せてきて。



そんな複雑な気持ちのまま、アブノーマルな同棲生活を続けて数日が経った頃、突然優海のお義父さんから仕事の件で電話が掛かってきた。

今契約している食品会社の一つが撤退するから、今度は俺達の会社に弁当を受注したいのだと。



思慮深いお義父さんはきっと、『いつか君の会社に頼みたい』という俺と交わした話を覚えてくれていたのだろう。


けれど、俺なんかがそんな心遣いをしてもらっていいのかという遠慮もあり、会社としてはありがたい話だが俺個人としては正直複雑だった。


だが、もちろんそんな私情を挟むことは出来ない。

専務にその旨を伝えると、すぐに新規契約に向けて動き始めた。


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