この恋は、絶対に秘密!
そんなことがあったせいか、久々に優海の夢を見た。


真っ暗闇の中、泣きながらどこかへ走っていく彼女を追い掛ける夢。

優海が亡くなった当時によく見たものと同じだった。


そして毎回、彼女の腕を掴んだと思った瞬間に目が覚める。

今回もそうだったが、いつもと違うのは腕を掴んだ感触があること。



おかしいとぼんやり思いつつ瞼を押し開けると、目の前にいたのは優海ではなく絵瑠だった。


大きな目を見開いて口元を手で覆っている彼女。

そして唇に微かに残る柔らかい感触で、キスをしてしまったのだと気付いた。


しかも優海の名前まで口走っていたらしい。

元奥さんのことだと告げると、絵瑠は驚きよりも切なさを瞳に滲ませていたように思えた。


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