この恋は、絶対に秘密!
──彼女が俺に好意を持ってくれていることはわかっていた。

そして俺自身も、彼女をただの同居人だと思えなくなっていることも。


それは彼女がただ優海に似ていたからではない。

薄々感づいていたからだ、

絵瑠は……きっと和久井瀬奈だと。



職場で見る内気そうな彼女とは外見も性格も別人のようで、最初は本当に赤の他人だと思っていた。

けれど一緒に生活しているうちに、ちょっとした仕草や話し方、メイクをしていない時の素顔がよく似ていることに気付いたのだ。


違う部署でほとんど接点もなかったが、俺は思った以上に彼女のことをよく見ていたらしい。

些細なこと過ぎて彼女はもう忘れてしまっているだろうが、ある出来事がきっかけで彼女を注目するようになっていたのだ。


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