この恋は、絶対に秘密!
そんな彼女が、何故いつまでも本当の名前を教えないのか、別人のふりを続けているのか……その理由はわからない。

和久井瀬奈だとバレたら、ここにいられないと思ったのだろうか。


そして俺も、彼女に真実を確かめることが出来ないでいた。

問い詰めたら、彼女はすぐにここを出ていってしまいそうで。



──そう、それこそが彼女を手放したくないと思っている証拠だ。


こんな俺達のアンバランスな関係がいつまでも続けられるはずがないということも、わかりきっているというのに。


たった数日間暮らしただけで、あれほど頑なに誓ってきた意志が揺らいでしまうなんて──

俺は本当に懲りない男だ。








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