この恋は、絶対に秘密!
切なさを抱きしめた夜
「……絵瑠……」
無意識に名前を呼び、伸ばした手が掴んだものは、温もりの消えたシーツ。
重い瞼を押し開けると、すっかり真上に昇った陽の光が人一人分のスペースを開けたベッドを照らしていた。
昨夜、この腕で抱いて眠ったはずの存在が姿を消している。
二日酔いで痛む頭を押さえながら上体を起こし、のそりとベッドから出て服を着た。
リビングへ向かうと、テーブルの上にメモが置かれている。
そこには“お世話になりました。ありがとうございました”という挨拶と、鍵は郵便受けに入れておくということだけが綴られていた。
綺麗で小さな字で書かれた“絵瑠”の名前に、侘しい気持ちを感じながら深く息を吐き出す。
目が覚めて冷静になったら、すべて話そうと思っていたのに──。