この恋は、絶対に秘密!
美波ちゃんがスミヤに就職したことはずっと前から知っている。

けれど、惣菜部門の担当者になったというのは初耳だった。


彼女はカクテルを一口飲んでふふっと笑う。



「今の食品会社との契約が切れることになって、じゃあ英司さんのとこに頼もうじゃない!って思って。
お父さんもそれは考えてたみたいだからすぐ話は通ったわ」

「どうして俺に……?」



美波ちゃんは姉である優海のことが大好きだった。それは優海も同じで。

大切な姉妹を切り離してしまうことになった根源の俺に、彼女が自ら関わりを持とうとするとは正直理解に苦しむ。


実際、これまでも俺に連絡をよこすことなんてなかったから、お義母さん同様避けているのだろうと思っていたのだが。



すると、美波ちゃんは伏し目がちなまま薄く微笑んで口を開く。


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