この恋は、絶対に秘密!
この後、実は彼が商品開発課の課長だと教えられ、このテストキッチンが“縄張り”だと言った意味もやっとわかったのだった。


一見クールだけど仕事のことになると熱が入る人なんだなぁ…なんて思って。

生き生きと商品のことを話す姿を見て、私は何故だか嬉しくなったんだ。




「……私、卵焼き好きなんです。だから買うのに迷ったらそれが入ってる方を選んじゃうかもしれません」



別に聞かれてもいないのに、私はそんなことを口にしていた。


卵焼きは私にとってちょっとした思い入れのあるおかず。

お母さんが昔作ってくれた数少ない料理の中でも、一番美味しくて印象に残っているから。


シェフが作る高級食材を使った料理よりも、こういう素朴な料理の方が私は好きだったりするのかも。


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