この恋は、絶対に秘密!
ドクン、と胸の奥で重い音が響いた。

さっきの日詰君とは真逆の言葉に、脳が混乱する。



「……まだ自分を責めてるんですか?」



心配そうに俺を見る彼女の視線から逃れるように酒を煽る。



「ねぇ英司さん、お姉ちゃんの死に囚われたままでいてほしくないのは、あなたも同じよ?」

「……俺の中で、後悔と罪悪感はきっと一生消えないよ」

「それでも、もう自分を許してあげたら──」

「俺が俺を許したら、また同じ過ちを繰り返しそうで怖いんだ」



弱気な本音を零し二杯目のグラスに口をつける俺を、美波ちゃんは何かに気付いたように目を丸くして見つめる。



「もしかして英司さん……
好きな人、出来たんですか?」


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