この恋は、絶対に秘密!

二時間程でバーを出た俺達はタクシーを拾い、先に美波ちゃんを家に送り届けた。

少し飲み過ぎたか……と思いながら、窓から見える花火をぼんやりと目に映していた。

あの子も、今一人で花火を見ているのだろうか。



アパートに着き、ふらつく身体を支えながら部屋へ入ると、いつもの笑顔で彼女が出迎えてくれる。

それだけでホッとして、乱れた心が少しだけ落ち着いた気がした。



しかし、キッチンのテーブルの上に置かれた料理の数々に気付き、また胸が痛み出す。

俺のために用意しておいてくれたのか……。


優海のことを思い出し罪悪感が沸き上がる反面、健気な彼女に愛しさが募る。


考えるよりも先に身体が動いて、気が付くと華奢な彼女の身体を抱きしめていた。


< 325 / 387 >

この作品をシェア

pagetop