この恋は、絶対に秘密!

君が欲しい



それから職場で和久井さんを見るたび、罪悪感と胸が締め付けられるような感覚を覚えた。


話したいが話せない。

そんな片想い中の青臭い学生のような自分を嘲笑いながら、日々の業務をこなすしかなかった。



スミヤの弁当の件は着々と話が進んでいる。

美波ちゃんもうちに足を運ぶことが多くなり、今日もその打ち合わせをしていた。

お茶を持ってきてくれた和久井さんに少しドキリとするが、何も気にしていない素振りで話を続ける。



すると美波ちゃんは、

「これでまた新しい関係を築いていきましょう?」

と言って微笑んだ。


あの日バーで話したことを思い出し、俺は苦笑を漏らす。



「でも、お義母さんはどう思ってるか……」



美波ちゃんの気遣いは嬉しいが、お義母さんの気持ちがわからない俺は不安でもあるのだ。


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