この恋は、絶対に秘密!
そのままレンズ越しに視線を絡ませていると。



「それにしても、いつまでお嬢様だってこと隠すんだ?」



英司さんは私の手からメニュー表を取り、デスクに置いてこう問い掛けてきた。

私は少しだけ考えてから口を開く。



「んー……もうずっとこのままでもいいかなって。この格好してると仕事のやる気も出るし、意外と心地好いんですよ」



日陰の存在の方が何かと都合がいいしね。

そう思いながら眼鏡を押し上げると、英司さんは薄く微笑む。



「そうか。まぁその方が俺も安心だしな」

「安心?」

「普段の瀬奈を見て男が寄ってきても困る」



それは……心配してくれてるの?

予想外の言葉に、驚きと嬉しさで目を丸くしていると。



「でも、今はちょっと外して」


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