この恋は、絶対に秘密!
でも、歳のお父さんと熊さん体型の宏典さんには、ヒールで走る私にすら追い付けないらしい。



「待ちなさい瀬奈ぁ~!!
あーもう!汐美くん、車を出してくれ!」

「は、はい!かしこまりました!」

「フフッ……僕から逃げられると思うなよ……」



ぎゃーーー!!
何なのよ、あの人!!


背後で繰り広げられるやり取りにゾッとしながら、私は細く入り組んだ道をひたすら走った。



あの豹変ぶり……絶対アブナイ人よ!

あんな人と誰が結婚なんかするもんですか!!




後先考えず、とにかく家には戻りたくない一心で、私は夕闇迫る街へ逃げ出した。


これから甘く危険な一夜を過ごすことになるとも知らずに──…








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