この恋は、絶対に秘密!
:*:一夜限りの逃避行
すでに日は沈み、夏特有の生暖かい空気が漂う夜がやってきている。
私は追っ手を撒くために細い路地を適当に走り抜けていた。
普段こんな抜け道みたいな所は通らないから、どこへ出るのか、はたまた行き止まるかもわからない。
段々と辺りが暗くなるにつれて不安も増してきた頃、なんとか広い通りに出ることが出来て私はほっと胸を撫で下ろした。
「ここ…学校の近くじゃん……」
見覚えがある通りだと思ったら、通っていた女子校の近くだ。
こんな所まで来ちゃってたのか…。
肩で息をしながら電柱に寄り掛かる。
着の身着のまま飛び出してきてしまったのだから、お財布はもちろん携帯も持っていない。
誰にも連絡出来ない、けど家には帰りたくないし……。