この恋は、絶対に秘密!
走ってる時は夢中だったから気付かなかった。



「うぅ~最悪……いたたたッ!」



どうやら両足の皮が剥けてしまったらしく、あまりの痛さにうまく歩けずよろけてしまった。


わゎっ、転ぶ……!!



「うわ」

「──っ!?」



トンッ…と優しい衝撃と同時に、驚きを含んだ低い声が頭の上から聞こえた。


どうやら、私の身体がぶつかったのは地面ではなく男性だったらしい。

胸に寄り添うように倒れかかってしまった私を、この人は背中に腕を回して咄嗟に支えてくれたんだろう。



「あっ、すみませ……!!」



抱き抱えられた状態のまま男性の顔を見上げた私は──

冗談じゃなく、息が止まるかと思った。


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