この恋は、絶対に秘密!
ない胸を寄せるようにして左腕を掴んだ右手には自然と力が入り、顔も赤くなってることがわかる。


……けれど、そんな意気込んで大胆発言をする私の耳には、クックッという声が聞こえてきた。

課長の顔をそろりと覗き込むと、口元に手の甲を当てて肩を揺らしている。


えっ……笑ってる??



「君って…面白いコだね。すごい変わってる」



煙草を元のケースに戻し、彼は再び私と向き直る。

不意に伸びてきた大きな手に思わずびくりとしたけれど、その手は私の頬にかかった髪の毛をそっと掻き上げてくれた。


そのまま頬に当てられたままの手と、真正面から見据えられる、なんだか熱っぽく感じる彼の切れ長の瞳に
私の心臓の鼓動は激しくなるばかりだ。


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