この恋は、絶対に秘密!
いつもの課長とは何か違う……

違うけど嫌じゃない。


そんな矛盾めいたことを思っていると、彼の唇が開いた。



「俺達…どこかで会ったかな…?君の名前は?」



──いけない、バレちゃう…!


私は咄嗟に目を逸らし、別の名前を頭の中で必死に検索した。

そしてヒットしたのは、何故か以前飼っていた愛犬の名前。


あまり黙っているのも変だし、一度思い付いてしまうともう他の名前なんて出てこない。

だから、とりあえずその名前を使うことにした。



「エル……です」

「“エル”?変わった名前だな」

「えぇ…と…!絵画の絵に瑠璃色の瑠で、絵瑠、です」



かなりぎこちない…けど、よく捻り出したわ自分!


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