この恋は、絶対に秘密!
「……まいったな」



ため息混じりに、どこか諦めにも似た呟きが形の良い唇から漏れた。

私の髪に絡ませていた長い指は、滑らかに頬へと移動する。



「さっきから君の行動には惑わされてばっかりだ。
天然?それとも計算?」

「け…計算で出来るほど私、男性経験ないですから!」

「だろうね」



ゔ……そんなあっさりと認められるとなんか複雑な気分……。


だけど、身体で感じる岬さんの圧迫感と体温に、私の心拍数は上がりっぱなしだ。



「どっちにしろ、こんな簡単に理性を崩されそうになるとはね……」



苦笑を浮かべて私の頬から首筋に滑らせる岬さんの手に、私は勇気を出してそっと自分の手を重ねてみた。


理性を崩されそうなのは──私だって同じ。


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