《短編》春夏秋冬
夏
夏になった。
私たち4人はそれなりだった。
“それなり”としか表現できない。
4人でいることもあれば、それぞれ別々に楽しむこともある。
それを寂しいと思う私の意に反し、それはそれで普通に上手く毎日が進んでるから。
ナツの言う通り、『そういうもん』なのかもしれないけれど、でもそう思わされることにも少し腹が立って。
ほんと、何だかなぁ、だ。
「ねぇ、夏休みどうする? 4人でどっか行かない?」
美冬は前のめりに目を輝かせて聞いてくる。
「俺バイト」
いきなり身も蓋もないことを言うナツ。
「は?」と、美冬もさすがにご立腹そうだった。
「朝も昼も晩も? 1日も休みなし?」
「まだシフト出てねぇもん」
「うわー。空気悪くなった。いるよねぇ、こういうやつ」
「美冬さぁ、それは俺に喧嘩を売ってるわけだ?」
「まさか。嫌味を言ってるだけよ」
「やだねぇ。怖い、怖い」
美冬はこめかみに青筋を走らせているが、ナツは涼しい顔だった。
ナツは夏休みに私たちとはしゃぐ気はないのだろうか。
それとも夏休みまで私たちと一緒にいたくないってこと?
「晃は?」
「いいんじゃない?」
「何がよ」
「まぁ、適当に? 予定が合えば遊べるし、合わなきゃしょうがない」
いや、そうなんだけどね。
ナツといい、晃といい、男連中はもう少しやる気を出してほしいものだ。