《短編》春夏秋冬
相変わらずだなぁ、と、親友を見ながら感心せずにはいられない。


高校に入って一番に話をしたのが、美冬だった。

美人なのに気取らず、姐御肌で面倒見のいい美冬とは、そこから意気投合して、今じゃ、私の最高の親友だ。



未だ、言い争っている晃と美冬を、私はため息混じりに笑い、



「わかった、わかった。じゃあ、仕方がないから私が見せてあげる。ね? だから、晃も美冬も喧嘩しないで」

「マジか。さすがは晴香だよ。何だかんだで、幼馴染様は、誰かさんと違って優しいからねぇ」


仲裁する私ににやにやと言いながら、揉み手で宿題のプリントを受け取る晃。

私たちのやり取りを見ていた美冬は大きなため息を吐く。



「あんたねぇ。幼馴染か何か知らないけど、宿題見せることは優しさなんかじゃないと、あたしは思うけどねぇ」


美冬は子供をお説教するママみたいだと思った。

言うと怒られるから、言わないけども。


その時、教室に気だるそうな声が響く。



「はよーっす」


大あくびのナツは、よろよろと歩きながら、私の隣の席へ。

無駄にイケメンなのに、そんな顔して、もったいない。



「眠そうだね。その分だと、数学の宿題、やってないでしょ」

「この俺がそんなもんしてると思うか?」

「しなよ」

「無理。見せて」


こいつらは、まったく。

と、思ったのは、どうやら私だけじゃなかったようで、



「はぁ、もう。晃といい、ナツといい、どうしてこうなんだか」


美冬も呆れたように言った。
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