《短編》春夏秋冬
ノックもしないで入ってきた晃。



「ふ、ふ、不法侵入じゃん!」

「幼馴染に向かってなんて言い草だよ。いいだろ、別に。減るもんでもないんだから」

「そういう問題じゃなくて。私がもし着替えの最中とかだったらどうするのよ、って話で」

「昔は一緒に風呂入ったり、一緒に寝てたりしたのに? 今更っしょ」


だから、そういう問題じゃないんだってば。

クッションを抱えて口を尖らせる私を横目に、晃は勝手知ったる様子で床に座る。



「別に、俺と晴香がどうこうなるわけでもないんだから」


失礼な。

その台詞はちょっとショックだよ、晃。



「で? 何か用?」


口を尖らせたまま、ぶっきらぼうに聞く私。

晃は「あー」と視線を少し泳がせた後、



「ナツから電話あった?」

「花火大会の話?」

「うん。行くだろ?」


おずおずとうなづく。

断らせてはもらえなかったのだし。


未だ口を尖らせたままの私に、晃はまた少し視線を泳がせた後、言った。



「花火大会の日にさぁ。俺、美冬にコクろうと思ってんだけど」

「……え?」

「だーかーら、わかってると思うけど、俺、美冬のこと好きなんだよ」


何の冗談なのかと思った。


晃が美冬を好き?

そんな馬鹿な、と、言いたかったけれど、晃はマジな目をしてた。



「まぁ、そういうことだし、晴香にも一応、協力してほしいなぁ、みたいな」
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