《短編》春夏秋冬
頭が真っ白になった。


思い返してみれば、晃と美冬は仲がよかった。

とはいえ、ふたりがもし付き合ったりしたら、私たち4人の関係はどうなるのだろうかと、それを一番に考えている自分がいる。



「……晃」

「うん? 何?」

「あ、えっと……」

「長くなる話? 俺これから飯なんだけど」


言いたいことだけ言って立ち上がる晃に、そんなの嫌だとは言えなくて。

私は「何でもない」とだけ返した。


勝手に入ってきて、勝手に出ていく晃に、私は最後まで何も言えないままで。


そもそも、昔の晃はこんなんじゃなかったはずだ。

それはつまり、ナツと仲よくなったから、毒牙にかかったってことで。



いや、これだと私はまたナツの所為にしてしまっている。



携帯を握り締めたまま、膝を抱えている時だった。

手の中の携帯が着信音を鳴らす。


相手は美冬。



「晴香。聞いた?」


花火大会の話だろうけど。

私は「うん」としか言えなくて。


先ほどの晃の言葉の頭の中をぐるぐるまわってて。



「あたし、ナツにコクろうと思ってんの、その日に」

「……え?」

「わかってると思うけど、私、ナツのこと好きなの」


鈍器で殴られたような衝撃が走る。



美冬がナツを好き?

晃は美冬が好きなのに?


もう、何が何だかわからない。
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