《短編》春夏秋冬
「飲み物買ってきてやろうか?」
「いらない」
私はナツの手を振りほどいた。
浮かれ気分で往来する人たちを見る。
親子連れより目立つ、カップルの群れ。
「ねぇ、ナツ」
「うん?」
「ナツって好きな人いるの?」
「何、いきなり」
「いるのかいないのか聞いてるの」
「どっちだと思う?」
「はぐらかさないでよ。私は真剣に聞いてるの」
それでも、ナツは誤魔化すように曖昧に笑う。
私には本心を見せようという気はないのだろうか。
睨む私に、ナツから笑顔が消えた。
と、その時。
「お待たせー」
「お前ら、どこに消えたのかと思ったら」
美冬と晃がやってきた。
「って、何、この険悪な空気は」
晃は私とナツを交互に見る。
美冬は無言のままだけど、私を睨んでいるような気がして。
なのに、ナツは晃にも美冬にも目もくれない。
「もう、マジめんどいわ」
舌打ち混じりに吐き捨てたナツは、
「なぁ、晴香。何でわかんねぇんだよ。俺が好きなのはお前しかいねぇだろ」
「いらない」
私はナツの手を振りほどいた。
浮かれ気分で往来する人たちを見る。
親子連れより目立つ、カップルの群れ。
「ねぇ、ナツ」
「うん?」
「ナツって好きな人いるの?」
「何、いきなり」
「いるのかいないのか聞いてるの」
「どっちだと思う?」
「はぐらかさないでよ。私は真剣に聞いてるの」
それでも、ナツは誤魔化すように曖昧に笑う。
私には本心を見せようという気はないのだろうか。
睨む私に、ナツから笑顔が消えた。
と、その時。
「お待たせー」
「お前ら、どこに消えたのかと思ったら」
美冬と晃がやってきた。
「って、何、この険悪な空気は」
晃は私とナツを交互に見る。
美冬は無言のままだけど、私を睨んでいるような気がして。
なのに、ナツは晃にも美冬にも目もくれない。
「もう、マジめんどいわ」
舌打ち混じりに吐き捨てたナツは、
「なぁ、晴香。何でわかんねぇんだよ。俺が好きなのはお前しかいねぇだろ」