《短編》春夏秋冬
「みんな振られるなんて、馬鹿じゃんね」


自嘲気味に私は言った。

それを聞いたナツは苦笑いのままに、



「その『みんな』ってのは、俺も入ってるわけだ?」

「あ……」

「ひどいねぇ。答えを聞く前に言っちゃってんじゃん。もう少しオブラートに包むとかしろよ」


私は何も言えなくなった。



「ってことは、晴香も晃に振られたんだ?」


顎先だけでうなづいた。


きっと、私が本当に壊したくなかったのは、晃といられた楽しい時間だ。

晃が私から離れて行きそうで怖かったからこそ、私は4人でいることを望んでいたんだと思う。



「振られたんなら俺にしとけばいいのに」

「私、そういうの嫌だ」

「それってつまり、振られてもまだ晃のことが好きってこと?」


晃と私のこれまでのことを、そう簡単に切り取るようなことはできない。

それは、ナツがどうこうという問題じゃない。



「美冬とは、あれからどうなったの?」

「怒ってたねぇ、美冬。『最低!』、『人の気も知らないで!』って怒鳴られて。お前こそ俺の気持ちは無視してんじゃん、って感じじゃね?」


私は美冬に嫌われて当然だろうと思う。

でも、私だって美冬に『人の気も知らないで!』と言ってやりたい。


晃を返してと言いたい。



「私たち4人って、何だったんだろうね」


あれほど楽しかったのに。

なのに、今ではそれが、夢幻のようで。



「ごめんね、ナツ。私、ナツとは付き合えないよ」


こんな気持ちのまま、私はナツと一緒にはいられない。
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