《短編》春夏秋冬


そんな中で、ナツと偶然再会したのは、何の因果だったのかと思う。



「誰かと思えば」

「そっちこそ」


ナツは少し背が伸びていた。

体も以前よりたくましくなった気がする。


別人と話しているみたいだった。



「別人みたいだな」

「……え?」

「何か晴香、前より派手になってない?」

「そう?」


どぎまぎする。


すっかり学校で居場所のなくなってしまった私は、連夜、何をするでもなく街を彷徨い歩いていた。

そんなところでナツと会ってしまったのだから、私は思わず顔をうつむかせてしまう。



「ナツ、仕事は?」

「終わった。さっきまで先輩らが飯奢ってくれてたんだよ」

「へぇ」

「大分慣れたよ、仕事も。最初は筋肉痛やばくて腕とか足とか千切れるかと思ったけど、どうにかなるもんだな」

「………」

「親父のこともちょっと落ち着いたし、新しい家も片付いたし、何かまぁ、どうにかなるもんだよな、色々と」


ナツは今、違う道で頑張っているのだ。



「学校辞めて、最初は寂しいとか悲しいとかも思ったりしたけどさ。でも、そんなことも言ってらんねぇし、今は楽しみでも見つけようかなぁ、って余裕も出てきて」


あの花火大会の日に取り残されてしまっているのは、私だけなのだろう。

そう思うと、やりきれなくて。



「で? そっちは何してんの?」

「……買い物、とか?」


曖昧にしか言えない私。


うちの両親は、いつも家にいない代わりに、お金をくれる。

でも、そんなもので遊び歩く私が、ナツの目にはどう映っているのだろうかと思うと、怖くて。
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