《短編》春夏秋冬
ショックだった。

大好きなお兄ちゃんにまで、邪魔者扱いされたことが。



「明日も学校あんだろ? 親が何も言わないからってサボるなよ。知ってんだぞ」


私は缶ビールを置いて立ち上がる。



「そうだね。お兄ちゃんの言う通り、もう寝るよ」

「晴香ちゃん?!」

「ごめんなさい。お先に」


私は「おやすみなさい」とだけ付け加え、お兄ちゃんの部屋を出た。



私が何に悩んでるかも知らないくせに。

と、叫んでやりたかったけれど、そんなのは結局、八つ当たりでしかないから。


自室に戻ってベッドに倒れ込む。



北側の窓――晃の部屋に通じるそこのカーテンは、花火大会のあの日以来、閉め切ったまま。



「はぁ……」


昔はよかったのにな。

と、また思ってしまったことを、慌てて奥底においやって。


お兄ちゃんの部屋からはまだ、「ぎゃははは」という笑い声が聞こえてくる。


楽しそうでいいな。

お父さんもお母さんもまだ帰ってこないのかな。



どうせ私は『邪魔』だからいいけど。



私は完ぺきにふてくされていた。

私は、ふてくされることしかできない子供で。


飲み慣れない酒が思考をぐちゃぐちゃにして、沼地に沈められるような感覚の中、私は吸い寄せられるようにして目を閉じた。

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