《短編》春夏秋冬
私たちは、本当にただの、『仲よし』の『友達』で。

そこに何があるというわけではないけれど、でもやっぱり隠しごとは嫌だ。



「そういう晴香はどうなの?」

「何が?」

「カレシとか、好きなやつとか。いるの?」


いつの間にやら私の話題にすり替わっていた。

こういうところは巧みだと思う。



「気になる?」


だから私も負けじと、先ほどのナツの真似をして聞いてみたのだけれど、



「気になるねぇ」


目が、何かちょっと怖かった。


ナツはたまに、人を見透かしてるんじゃないかというような目をすることがある。

吸い込まれちゃいそうというか、なんというか。



「誰にも言わないから、オトーサンにだけは教えなさい」

「またそうやってはぐらかすんだから。っていうか、あんたいつから私の父親になったのよ」

「うはは」


会話はいつもナツのペースだ。

もしかして、私が『おっとりしてる』からそうなっちゃうのかな。


しかし、自分のことは話さないくせに、ナツは私を追求する。



「で? 実際のところはどうなの?」

「いない、いない。はい、終わり。私の話はもうしない」

「ふうん。まぁ、いないならこれ以上する話もないわけだけど。寂しいやつめ」


『寂しいやつ』って何よ。

余計なお世話だよ、オトーサン。



「あのねぇ、ナツ。私は」


文句のひとつでも言ってやろうと私は抗議の声を上げたが、ナツはそれを遮るように、
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