《短編》春夏秋冬
私はそこで初めて、わんわんと声を上げて泣いた。
ナツはずっと私の頭を撫でててくれた。
ひとしきり泣いた後、涙を拭ってやっと、ここが玄関であると気がついた。
「ごめん。寒いよね。上がって。私の部屋、二階の左だから」
恥ずかしさから体を離して背を向け、慌てて言った。
けれど、考えてもみれば、カノジョがいる人を私の部屋に呼ぶべきではない。
と、思ったのに、ナツは「おじゃまします」とご丁寧に言って、勝手知ったるように階段をのぼっていく。
こういうところは変わらないやつだ。
飄々としてて、こっちの心配なんて気にも留めないんだから。
私の部屋に入り、ぐるりと中を見回したナツは、
「すっげぇ綺麗に片付いてるね。隣の幼馴染とは大違いだ」
嫌味なのだろうか。
私は適当な笑みでしか返せない。
ナツはベッドに背をつけ、床に座った。
「何か飲む?」
「気にすんなって。座れよ」
まるで私の方が客人みたいだ。
「ほんとにごめんね。こんな真夜中に」
「晴香から、しかもクリスマスに電話なんて、何事かと思ったけど。無事ならそれでいいよ」
「あ……」
カレンダーに目をやり、驚いた。
そういえば、今日はクリスマスだった。
そんなことさえ吹っ飛んでいた自分が嫌になる。
「私そんなこともわからなかったなんて。ナツ、カノジョと一緒だったんじゃないの?」
「一緒だったよ。もう『カノジョ』じゃないけど」
「え?」
ナツはずっと私の頭を撫でててくれた。
ひとしきり泣いた後、涙を拭ってやっと、ここが玄関であると気がついた。
「ごめん。寒いよね。上がって。私の部屋、二階の左だから」
恥ずかしさから体を離して背を向け、慌てて言った。
けれど、考えてもみれば、カノジョがいる人を私の部屋に呼ぶべきではない。
と、思ったのに、ナツは「おじゃまします」とご丁寧に言って、勝手知ったるように階段をのぼっていく。
こういうところは変わらないやつだ。
飄々としてて、こっちの心配なんて気にも留めないんだから。
私の部屋に入り、ぐるりと中を見回したナツは、
「すっげぇ綺麗に片付いてるね。隣の幼馴染とは大違いだ」
嫌味なのだろうか。
私は適当な笑みでしか返せない。
ナツはベッドに背をつけ、床に座った。
「何か飲む?」
「気にすんなって。座れよ」
まるで私の方が客人みたいだ。
「ほんとにごめんね。こんな真夜中に」
「晴香から、しかもクリスマスに電話なんて、何事かと思ったけど。無事ならそれでいいよ」
「あ……」
カレンダーに目をやり、驚いた。
そういえば、今日はクリスマスだった。
そんなことさえ吹っ飛んでいた自分が嫌になる。
「私そんなこともわからなかったなんて。ナツ、カノジョと一緒だったんじゃないの?」
「一緒だったよ。もう『カノジョ』じゃないけど」
「え?」