《短編》春夏秋冬
「ここに来る前に別れてきた。っていうか、ほんとはもう、ずっと前に終わってたんだけどさ、俺ら。でも、あいつが『最後にクリスマスだけは』とか言うから」
「………」
「でも、晴香から電話かかってきて。あいつ、『どしても行くの?』、『何で?』って。だけど、俺、あいつより晴香のことの方が心配で」
「………」
「おかしいよな。つーか、変だよな。俺はもう振られてんのにさ。それでもたった一本の電話でここまで来ちゃって」
私は顔をうつむかせ、「ごめん」とまた言った。
何に対しての謝罪なのかはわからないけれど。
ナツはそんな私を一瞥する。
「なぁ。今更だけど、やっぱ俺じゃダメなの?」
「………」
「俺、金も時間もないし、制服デートとかもできないけど、晴香の苦しみとかは半分にしてやれるよ。そのためなら、いくらでも頑張れるし」
「………」
「他のやつといても忘れられなかった。こういうの、未練がましいだけなのかもしれないけど、俺は今もまだ晴香のこと好きなんだよ」
一度に色んなことがあり過ぎて、頭がパンクしてしまいそうだった。
答えに窮した私に、ナツは肩をすくめて見せ、
「まぁ、こんな時に言われても困るだろうから、ゆっくり考えといてよ。今度はもう、俺いなくなったりしないから」
頭を撫でられた。
ナツの真っ直ぐな気持ち。
私はうなづく。
「何か話しよっか。すっげぇくだらないこととかさ」
「うん」
「どんなのがいい?」
それが、私の気を紛らわせてくれるためであるということはわかった。
ナツの優しさを噛み締める。
私は自然と笑顔になれた。
「………」
「でも、晴香から電話かかってきて。あいつ、『どしても行くの?』、『何で?』って。だけど、俺、あいつより晴香のことの方が心配で」
「………」
「おかしいよな。つーか、変だよな。俺はもう振られてんのにさ。それでもたった一本の電話でここまで来ちゃって」
私は顔をうつむかせ、「ごめん」とまた言った。
何に対しての謝罪なのかはわからないけれど。
ナツはそんな私を一瞥する。
「なぁ。今更だけど、やっぱ俺じゃダメなの?」
「………」
「俺、金も時間もないし、制服デートとかもできないけど、晴香の苦しみとかは半分にしてやれるよ。そのためなら、いくらでも頑張れるし」
「………」
「他のやつといても忘れられなかった。こういうの、未練がましいだけなのかもしれないけど、俺は今もまだ晴香のこと好きなんだよ」
一度に色んなことがあり過ぎて、頭がパンクしてしまいそうだった。
答えに窮した私に、ナツは肩をすくめて見せ、
「まぁ、こんな時に言われても困るだろうから、ゆっくり考えといてよ。今度はもう、俺いなくなったりしないから」
頭を撫でられた。
ナツの真っ直ぐな気持ち。
私はうなづく。
「何か話しよっか。すっげぇくだらないこととかさ」
「うん」
「どんなのがいい?」
それが、私の気を紛らわせてくれるためであるということはわかった。
ナツの優しさを噛み締める。
私は自然と笑顔になれた。