《短編》春夏秋冬
「日曜」

「……え?」

「好きなやつすらいないなら、どうせ日曜も暇してるよな?」

「え? あぁ、……うん?」


ナツの言わんとしていることがわからない。

と、いうか、さらに何か嫌味を言われるのかと警戒していたら、



「映画行こうよ、映画」

「……はい?」


確かに私は『好きなやつすらいない』し、『日曜も暇してる』けど。

だからって、そこでどうして私とナツが映画に行くことになるのか。


私からしてみれば脈絡がなさ過ぎて意味がわからない。



「チケットあるんだよ。オカンが商店街の福引で当てたとかで、2枚」

「何で私を誘うのよー」

「あ、マック奢っちゃる」

「じゃなくてさぁ」

「いいだろ、どうせ暇してんだし」

「そういうことじゃなくて」

「何かさぁ、近未来でロボットが活躍してる世界でどうこうってやつでさぁ。おもしろそうじゃん?」

「興味なーい」

「ひでぇな」


またしてもナツのペースで脱線する話を、どうにか軌道修正したくて、私は咳払いひとつして、



「だから、何で私なの? 私じゃなくて他の子を誘いなよ。っていうか、私、そんなのしたらナツのカノジョに恨まれそうで怖いんですけど」


私は口を尖らせた。

瞬間、怒った顔をして「もういい」と席を立つナツ。



「お前なんか金輪際、誘ってやらねぇよ。バーカ、バーカ」


すごい捨て台詞だな。

今時、小学生でも言わないと思うんだけど。


まったくもって、ナツの考えていることは、私にはわからなくて。
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