不誠実な恋
幼い頃から文字が大好きだったあたしは、まるでそれが当然かの如く日常を本と共に過ごしてきた。
小学生の頃は童話、中学生になれば恋愛小説。高校生活も終わりを迎えようとしている今は、流行の作家が綴る少し複雑な恋愛小説に夢中になっている。
露骨でもなく、かと言って間接的過ぎず。多少なりとも女という立場を経験しているからこそ読める小説であって、これが中学生の頃ならば三分の一も読めてはいないだろうと思う。
昼下がりの公園で、温かな日差しに眠気を誘われながら単行本を開く。それが日課で、今日も今日とて変わらない。
・・・はずだった。
「なぁ、その本面白いん?」
背後から掛けられた声に反射的に本を閉じ、表紙を隠すように抱えて振り向いた。
別に悪いことをしているわけではない。けれど、何だか後ろめたい。
掛けられた声が初めて聞く声で、それがしかも男の人の声だからだろうか。
特にR指定のかけられている本でもなければ、それを自分のバイト代で購入して誰にも迷惑を掛けずに公園の片隅にあるベンチで読んでいるというのに。
小学生の頃は童話、中学生になれば恋愛小説。高校生活も終わりを迎えようとしている今は、流行の作家が綴る少し複雑な恋愛小説に夢中になっている。
露骨でもなく、かと言って間接的過ぎず。多少なりとも女という立場を経験しているからこそ読める小説であって、これが中学生の頃ならば三分の一も読めてはいないだろうと思う。
昼下がりの公園で、温かな日差しに眠気を誘われながら単行本を開く。それが日課で、今日も今日とて変わらない。
・・・はずだった。
「なぁ、その本面白いん?」
背後から掛けられた声に反射的に本を閉じ、表紙を隠すように抱えて振り向いた。
別に悪いことをしているわけではない。けれど、何だか後ろめたい。
掛けられた声が初めて聞く声で、それがしかも男の人の声だからだろうか。
特にR指定のかけられている本でもなければ、それを自分のバイト代で購入して誰にも迷惑を掛けずに公園の片隅にあるベンチで読んでいるというのに。