不誠実な恋
冷房のせいもあったのかもしれないけれど、慣れない温度に握ってしまうのを躊躇ってだらりとベッドの下へその手を投げ出した。
「まだ落ち着かんようなら安定剤打ったんで?」
「もう…いい」
「えらい切り替えの早い子やな。もっと泣き叫んで暴れられるかと思ったわ」
「いいの、もう。翔太死んじゃったから」
「はっ!?」
震える指を眺めながらぽつりと呟いた言葉に、侑士は持っていたコーヒーカップを落としかねないくらいの過剰な反応を見せてくれた。
知っているのは、手術室に居る人達とあたしだけ。目の前の侑士が驚くのも無理はない。
「何でそんな…」
「そのうち誰か知らせに来るよ」
「…まぁ、ええわ。とりあえず名前とか連絡先教えてくれる?家の人に連絡せなあかんし」
「皆藤 美弥、6月1日生まれの18歳。親は海外赴任中だからすぐには来れないよ」
「海外赴任…か。翔太君とこの連絡先はわかる?」
「同じ。名前以外全部同じ」
「ん?どうゆうこと?」
「皆藤 翔太、6月1日生まれの18歳。双子なの、あたし達」
「双子?」
よく似た顔も同じ苗字も、温かい手も大好きだった。
恋人よりも大切で、唯一無二の存在。
「まだ落ち着かんようなら安定剤打ったんで?」
「もう…いい」
「えらい切り替えの早い子やな。もっと泣き叫んで暴れられるかと思ったわ」
「いいの、もう。翔太死んじゃったから」
「はっ!?」
震える指を眺めながらぽつりと呟いた言葉に、侑士は持っていたコーヒーカップを落としかねないくらいの過剰な反応を見せてくれた。
知っているのは、手術室に居る人達とあたしだけ。目の前の侑士が驚くのも無理はない。
「何でそんな…」
「そのうち誰か知らせに来るよ」
「…まぁ、ええわ。とりあえず名前とか連絡先教えてくれる?家の人に連絡せなあかんし」
「皆藤 美弥、6月1日生まれの18歳。親は海外赴任中だからすぐには来れないよ」
「海外赴任…か。翔太君とこの連絡先はわかる?」
「同じ。名前以外全部同じ」
「ん?どうゆうこと?」
「皆藤 翔太、6月1日生まれの18歳。双子なの、あたし達」
「双子?」
よく似た顔も同じ苗字も、温かい手も大好きだった。
恋人よりも大切で、唯一無二の存在。