不誠実な恋
忘れることが不可能だからこそ、こうして乗り越えていこうと努力するしかないのだ。
たとえどれだけ苦しくとも、どれだけ泣き叫ぼうとも。生き残ってしまったからにはそうしていくしかない。




「美弥、生きてや。俺だけのためにずっと」




大好きだった弟はもういない。

けれど、その存在に代わる存在をすぐに見つけられたあたしは、ある意味幸運である意味不運なのかもしれない。


誰かと一緒に、誰かのために。と、そう望んで、生きて欲しいと望まれて人生をやり過ごすことが生きるということだとすれば、今のあたしには生きる意味がありすぎる。


それに身を任せて生きてこの人生を終えた時、天国で待っていてくれているはずの翔太はあたしに何と言うだろうか。
その時あたしは、幸せな人生だったと笑って翔太に生き残ったことを自慢することが出来るだろうか。
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