【完】ベストフレンド ‐武蔵野 健吾‐
「信吾」
木に寄りかかって空を見上げていた信吾が、俺の声に反応してこっちを見る。
「おせーよ」
と言って笑うのは、いつもと同じ。
だけどなんだか、その笑顔は寂しそう。
「あー……こんなとこに呼び出して、どうしたんだ?」
信吾の表情に戸惑いながらも、なるべく普通を装って声をかける。
そうすると信吾は、寂しそうな顔のまま何かを差し出した。
これは……いつかに見た、神話の本?
「俺学校辞めるからさー、これお前にやるわ」
「……は?」
え、辞める? 信吾が、学校を……!?
「お、おい、冗談だろ!? なんで急にそんな話になってんだよ!!」
「いやー親の離婚が決まってさぁ、俺お袋と妹と青森行くんだわ」
「青森!?」