【完】ベストフレンド ‐武蔵野 健吾‐
……前へ、か。
そういや信吾も、そんなこと言ってたよな。
――『俺は俺の道を行って、お前はお前の道を行く』
……前へ、進むしかないんだよな。
すべてを受け入れて、進むしかない。
【 俺も、ちゃんと進むよ。 ありがとう、朔也。 】
いつまでもガキみたいにいじけてたって仕方ない。
変えられないのなら、前へ進んで笑ってサヨナラする。 それがいい。
【 俺は別に何もしてないけどね。
あぁそうそう、信吾から伝言。 『16』だって。 なんのこと? 】
……16?
なんのことだ?
【 なんのことだか、俺にもわからない。 】
【 じゃあ、信吾本人に聞いてみたら? 】
【 おー、気が向いたらな。 】
なんてメールを送ると、またすぐに返事が来た。
【 今すぐ聞きなよ(笑)
あぁ明日8時過ぎには信吾の家に行くから、ちゃんと来るんだよ? 】
【 おー、気が向いたらな。 】
【 またそれか(笑) まぁいいや、じゃあおやすみ。 】
【 おやすみー。 】
朔也とのメールを終えて、携帯をベッドに放る。
「16、かぁ……なんだろうな」