【完】ベストフレンド ‐武蔵野 健吾‐
呼び出し音が、1回、2回。
『はーい、もしもーし』
……いつもと変わらない信吾の声に、また笑みがこぼれる。
「なーにが『四聖獣の中心的存在なんだからな』だよ」
『お、やっとメモ書きに気付いたか!! つーか朔也から聞いたんだよな?
ほんとは言うつもりはなかったんだけど、やっぱり健吾にはちゃんと知ってもらいたかったんだ』
「ん」
『凄くね? な、マジでヤバいだろ。 お前らだけじゃなくて、俺も運命に導かれた男ってことだ』
電話の向こう側の明るい声で、信吾の笑顔を想像する。
きっと、子供みたいに目をキラキラ輝かせてるんだろうな。
熱弁していた『四聖獣』の話の中で、信吾が言った『中心的存在』。
それがアイツ自身なんだから、興奮しない方がおかしい。
「黄川田 信吾。 マジで、すげーよな」
四聖獣の中心に居るのは、黄龍。
そして信吾の名字は、黄川田。
俺らの出会いは、運命だったんだ。