【完】ベストフレンド ‐武蔵野 健吾‐
『10年経ったら、俺らは26だろ?
26って言ったらあれだ、なんでも好きなこと出来るんだぜ?
今は無理でも、10年後なら余裕じゃん』
「あー……まぁ言われてみりゃ、そうだけど……」
『つーことで、10年後会いに行くわ』
……10年後、か。
「いや、でもさ……10年経ったら、俺もこの街には居ないかもしれねーよ?
つーか、事故とかで死んでるかもしれねーし」
『人間いつかは死ぬ。 もしどっちかが死んでても、いづれ天国で会えるだろ。
でー、健吾がこの街に居なかったら、その時は健吾の居る街に会いに行く。 それだけだよ』
それだけだよ、って。
なんつうポジティブシンキング。
『とにかく、俺は10年後に行くから。 それまで俺のこと忘れるなよー?
もし忘れてたら、1000万一括支払いな』
「1000万て、んな大金払えねーよ」
『桃鉄ならスタート時の所持金だよ? チョロいじゃん』
「だから、ゲームと一緒にすんなって」
と、そんなことを言いながら俺たちはまた笑い合う。
『まぁとにかく、お互いがお互いのことを忘れない限り、ぜってー大丈夫。
俺はお前を忘れないし、いつかは会いに行く。 だからお前も俺を忘れんなよ?』
「……ん、努力はする」
『あはは、じゃあまたな。
10年後会えるのを楽しみにしてる。 アディオス!!』
そんな言葉と共に、電話は切れた。