キスから始まらない恋。
桜。期待。
――桜舞う、この季節。
環境が変わると、それだけで淡い期待を抱いてしまう。
そんなバカな季節でもある。
「…くそくらえ」
校門の前で、桜に向かって言ってみる。
「…リア充くそくらえ」
もう一度。
私の視線を遮る桜の木は、私の心の叫びが聞こえなかったのか、大きく枝を揺らした。
「……。……はぁ――」
真新しいブレザーの制服は、私の心をくすぐる。
中三から伸ばした髪が頬の周りではしゃいでいる。
「…だがしか――し!!」
今の気分は最悪だ。