キスから始まらない恋。
理由は一つ。
…昨日、私は振られたのだ。
約4回目。
「…約って言うのは言わずに失恋したことが2回ほどあるからです」
でも、今回のは直接だった。
そして即興で「ごめんなさい」
ガンっ
「あーもーなんなのよ――!!夕子はあーんなにラブラブなのにぃ」
塀を蹴っていると、これまた新品のローファーが傷つくのが分かったので、やめておいた。
代わりにチッと舌を打つ。
夕子とは違う高校になってしまった。
…まぁ、元々頭の作りが違うことは知っていたから別にいい。
彼氏さんと同じだそうだ。
羨ましい。
初恋の人をなんとかして忘れようとして、結果約4回も失恋したのは失敗だったと言う他ない。
「…約って言うのは言わずにしっ……」 バッシ――ン!!
「…百合。あんたそれ二回目よ。私を飽きさせないで」
「お母さん。暴力だよ。泣いちゃうよ、警察来ちゃうよ?」
「さっきあんた自分で言ってたじゃない。頭の造りが違うって」
「それは夕子とだよ!あんたと比べた覚えはないわい」
「…んじゃ、もっと叩いたら中身が出てきて答えが分かるかもね」
「そんな酷いことってないよ!!せっかくの入学式なのにぃ…」
「はいはい、こんなことに付き合ってあげてんだから、感謝なさい」
「こんなことって……」
キ―ンコーン
「ん?……ヤバッ」