猫 の 帰 る 城
パーフェクト・エフェクト
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翌日から彼女は変わった。
何が変わったって、一番大きな変化は髪型だっただろう。
胸の下まであった長い髪をばっさり切ったのだ。
白い首筋をさらしたベリーショート。
小顔で首の長い小夜子には、よく似合うという言葉どころじゃおさまらない。
ただでさえ人目を引くというのに、彼女は平然として言うのだ。
「失恋して髪を切るなんていかにもって感じだけど、やってみると本当にすっきりするのね」
それから、本格的にアルバイトを始めたようだった。
これまでは短期のアルバイトをいくつかやってきたようだったが、詳しくは知らない。
今度は派遣会社に登録して、ちょっとしたモデルのような仕事をしているようだ。
タウン誌のファッションコーナーや、や結婚式場のパンフレットに載っているのを見せてもらったことがある。
ウエディングドレスを着て微笑む彼女はただの女子大学生ではなかった。
とにかく今は無駄なことを考える時間もないくらい、働きたいのだと小夜子は言った。
「今まで暇持て余してきたからね。ちょっとくらい、社会貢献しないと」
彼女のスケジュールはアルバイトで埋まった。
イベントのキャンペーンガールなどもやっているとか聞いたが、こちらも詳しくは知らない。
僕は彼女が語ろうとしないことついて、深く聞かないことにしていた。
それはこの付き合いでの暗黙のルールになっていて、彼女も同じだった。
彼女も僕が語ろうとしないことについて、深く尋ねてくることはなかったのだ。
そう、例えば。真優のこととか。