月下の幻影
「今の塔矢隊で、彼女に勝てる人はどのくらいいますか?」
塔矢は少し考えて答える。
「古参の隊員が四、五人ってとこかな」
それを聞いて和成は納得して笑いながら何度も頷いた。
「そうじゃないかと思いました。”男にまけるもんか”って全身から滲みだしてますしね。まぁ、その実力だと、私にも勝算はあるかな」
「負けるつもりないだろう」
塔矢はニヤリと笑いながら和成の肩を小突いた。
「ええ。だから真剣勝負にしたんですよ。慣れてないと緊張しますからね。その分私は有利になります」